yasudacloudの日記

札幌に住むソフトウェアエンジニア

情報倫理 ネット時代のソーシャル・リテラシーを読みました

情報倫理 ネット時代のソーシャル・リテラシーという本を買いました。

はじめに

情報倫理、モラル、リテラシーといった教科書的な本になぜ興味を持ったのかということについて話します。

私が通っていた高校は商業の学科だったこともあり、"情報倫理"という授業がありました。それは1、2ヶ月くらいの短い期間で内容はあまり覚えていませんが、高校1年の早い段階で履修していたので情報系科目として重要なんだろうなと感じていた覚えがあります。

しかし、この本に限らず情報倫理というテーマは時代の変化と共に内容が変わっています。私が高校生の時はまだぎりぎりスマホがなかった時代なので、現代の情報倫理はどういう内容を伝えているのだろうか、という興味が湧いたのが今回のきっかけです。

というわけで例によって直接的な引用を避けつつ、学生向けの視点で良かった点や私的な感想を書いていきます。

まず、章立てが上手く構成されているなと感じました。

第1章 情報倫理とは

第2章 情報通信社会とインターネット,進化と変遷

第3章 ネット時代のコミュニケーション

第4章 メディアの変遷

第5章 メディア・リテラシー

第6章 情報技術とセキュリティ

第7章 インターネットと犯罪

第8章 個人情報とプライバシー

第9章 知的所有権とコンテンツ

第10章 企業と情報倫理

第11章 科学技術と倫理

第12章 ビッグデータとAIの倫理

第13章 デジタルデバイドとユニバーサルデザイン

第14章 ソーシャルネットワークサービス(SNS)と情報モラル

第15章 情報通信社会とリテラシー

この中から特に知っておくと良いと思った章を簡単にご紹介します。

第5章 メディア・リテラシー

テレビやYouTube、ネットニュース、広告など情報を発信する側の特性(事情)について書かれており、それらを知ることで情報を精査、比較する力を身につけることができます。情報というのは実体を持たず、悪意があっても軽視されやすいので自分が知らず知らずのうちに加害者になることがあります。

タイムリーな話で、今年の10月からステマに関する法規制が導入されるようです。最近はネット上で活躍するインフルエンサーと言われる人が増えているので、本章で示されているメディアリテラシーがないと思わぬトラブルを起こしてしまうかもしれません。

個人的にこのテーマが一番面白いと思ってるので、この章のページ数が少ないことが本書で一番残念な点でした。例えばYouTubeの違反(誇大)広告や悪質なフェイクニュースといった身近に感じる事例があると学生に刺さりそうです。

第9章 知的所有権とコンテンツ

権利というと権利を保持している人が行使できる内容を連想するかもしれませんが、本章では権利を守る(尊重する)ことの重要性について説いています。

著作権周りの話は分類すると数が多く、数年で改正されることもあると思います。また、権利違反かどうかは似たような事例を引き合いに出しても僅かな違いで異なる結果になりうるので意外と難しいテーマです。そのため具体的な用語と説明を丸暗記するより、この行動は何かの権利を犯していないだろうか?と疑問を持てるような勘を養うことが重要ですね。

第14章 ソーシャルネットワークサービス(SNS)と情報モラル

この章は私が全く教わらなかった現代の内容になります。私が学生の頃(2005〜2010年...?😨)はネット上でユーザー同士のトラブル・事件は社会問題として取り上げられていなかったような印象があります。当時から匿名掲示板やオンラインゲームでプレイヤー同士が接点を持つというのはありましたが、あくまで業者が個人に詐欺を行ったり、個人が特定の場所に爆破予告をするような"個人 対 組織"という関係でした。

本章ではSNSを利用する上でユーザー同士のありがちなトラブルの事例・対処法について記載されています。情報の残存生、性的脅迫、誹謗中傷について書かれており、スマホ(インターネット)を使い始めの方に是非知っておいてほしいことが盛り込まれています。

ちょっと細かい点が気になったのですが、SNSを利用する上でプライベートな内容には公開設定を適切に行うという記載があります。おそらくSNSに関する書籍でもこういった記載があるのかなと想像しています。モラルという点ではこの行動は正しいのですが、プライベートな公開範囲であってもその言動は正しいのか?という倫理観を持つことが重要です。

有名な スシロー迷惑動画事件 - Wikipedia を例に考えると、この事件は「醤油ボトルなどを舐める」「迷惑行為を動画に撮って発信する」という2つに分けることができますが、情報倫理に則って行動するだけでは後者しか防ぐことができません。

加えて、こういった犯罪や迷惑行為と疑われるような動画や写真はプライベート公開であっても流出しやすいという実態があります。自分や友人の投稿だけでなく、第三者の撮影や監視カメラ、タレコミから拡散するケースもあり、昔に比べて"バレやすい"世の中になっていると言えます。本章では被害者視点で書かれていますがそれだけでは不十分で、加害者を生まないための啓発が必要だと感じました。

まとめ

過去の記事で"書籍によるインプットを増やしたい"みたいな話をしましたが、最近は技術書は読んでいなかったので固めのタイトルに惹かれるものがありました。

冒頭で教科書的な本と言いましたが、若者だけでなくパソコン・スマホ・インターネットを日常であまり触ってこなかった大人にもおすすめです。

以上、ご紹介でした♪( ´θ`)ノ