先日のfukabori.fm、 88. 数理モデル思考で紐解く RULE DESIGN - 組織と人の行動を科学する w/ 江崎貴裕 | fukabori.fmのゲスト江崎さんの話が面白かったので執筆されたという本を購入。
定価2,200円と安価な割にページ数が結構あるのでお得感があります。夜ふかしして何とか2日で読み切ることができました😪
個人的には特に5章と7章が良かったので少しだけ簡単に概要説明します。
第5章 人を活かすルールデザイン −制約条件としてのルール
過剰な制約によって行動を制限することで起きる問題について書かれています。適度な制約によってマネジメントやアイディアの意見出し、コスト(時間・人間)の削減が見込めるという例が端的に紹介されています。
社会人なら制約が多い(厳しい、複雑)ルールというのは想像しやすいかと思いますが、本章では大手企業等の事例が紹介されていてどれも面白い取り組みです。
第7章 成功のためのルールデザイン −フィードバックのプロセス
この章ではルールデザインの見直しについて書かれています。
ルールの見直しは当然人間が行うものですが、その人間の心理についてもよく書かれています。
なぜルールを改善できないのか?
なぜルールを変える必要がないと考えるのか?
なぜそのようなルールにしたのか?
といった疑問に対して数理モデルを交えて丁寧に説明されています。
企業の不思議ルール
ルールが形骸化する背景に色々な要因があるかと思います。せっかくなので自分が実際に体験した不思議ルールを2つ紹介します。
ep1. 新卒は毎朝掃除
新卒で東京のSI企業に入社しました。
入社して最初の頃に総務部から「新卒のうちは売上が立たないので先輩方からの稼ぎで賄ってもらっているんだよ」というような説明を受けました。そのため新卒は1年間会社に早く来て掃除をするというのが長年の慣習とのこと。もちろんその時間は出勤扱いになりません。
当時は9時15分が始業時刻だったので、そこから1時間早く会社に行っていました。会議室のテーブル拭き、ホワイトボード、役員のデスク拭き、水回りの清掃などなど。
何より驚きだったのが、そのオフィスには外部の清掃業者が入っているのです😅
今思えば無意味でモチベーションを著しく下げるルールだなと感じていますが、それから誰も問題提起していなければ今でも続いているのかもしれません。ちなみに掃除を強いられるのは昨今だと時間外労働という観点で物議を醸しそうですね。
ep2. 部長しかいない部署
これも驚き話。
以前勤めていた職場では"部長が2人だけの部署"というのがありました。他に部下(メンバー)はおらず、その部署に部長職が2人だけで組織図に記載されているのです。
聞いた話によると元々はそれぞれ違う部署で部長職だったらしいのですが、組織編成で各部署の縮小を行なったそうです。その際に勤務歴の長さから部長職はどちらも外せないという経営層のルール(こだわり?)から部長2人だけの部署が出来てしまったとのこと。
つまり、人が減って結果的に2人になったのではなくて2人だけの部署を新設したのです。ちなみに仕事の方は部長2人と役員でプロジェクトを進めていて、単価(給与)が高いためかよく赤字だったそうです 笑
一応これらのフォローをしておくとおそらく当初はもっともらしい方針があったのだと思います。しかし、周りの環境や時代の移り変わりで見直さなかったために後から参画した人には違和感が生じてきています。
こういったルールの運用を見直さないことに対する要因や考え方も本ではきちんと触れられています。
まとめ
表紙の印象からは"ルールを作る側"の本というイメージを持つかもしれませんが、様々な業種の参考事例紹介や社会心理学について多く書かれていて万人に当てはまる内容だと思います。あと文章が大変読みやすいです。
本屋ではコンピュータと趣味系のカテゴリーに行くことが多いのでこういうビジネス書は久しぶりに読みました。
個人的におすすめの一冊なのですが、自分の紹介があまり上手でない可能性が高いので是非書店で手に取ってみてください。